この記事は、最近よく聞く「働き方改革」について、いまいち何のことか分からない方や、これからどのように社会が変わっていか、興味のある方におすすめの記事です。
国の推進する「働き方改革」とは
政府は現在の労働制度を抜本的に改革し、日本経済を世界に競争力のある、社会に変えることを目指しています。また今まで当然とされてきた働き方のシステムを変える事で、多くの人が、明るい将来の展望を持てる事を期待しています。このような取り組みを働き方改革と呼んでいます。
なぜ国は「働き方改革」を推進するの?
このように一見素晴らしい取り組みに見えますが、そこには政府の隠れた狙いや、従来の日本の社会システムには、大きな構造的な問題を抱えている即面があります。
日本の労働生産性の低さ
G7で最下位
日本人は勤勉だと言われていますが、労働生産性はG7(先進7ヶ国)のフランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダで50年近く最下位です。
また世界の順位でも20位前後で、トップのアイルランド約17万ドルの約半分程度と非常に低いです。労働生産性は一人あたりの、「モノ」や「サービス」を生み出す量に該当します。今後日本は、人口減少が急激に起こります。この労働生産性を高めなくては、日本は急激に経済が縮小してしまい、先進国から転落してしまうかもしれません。
年金、医療費、増大と税収減による、財政破綻の懸念
超高齢化社会
日本は急激な高齢化社会に伴い、2017年には約27%が65歳以上となっており、2065年には約38%まで上昇する事が見込まれています。一方、現在の働き方は、正社員が60歳で定年する、昭和型のモデルを前提に作られています。その為、多くの方は働きたくても定年で仕事をやめるか、パートなどになるかです。それでは政府は困るのです。やる気のある人にはもっと働いてもらい、結果的に年金を貰えなくても良いようにしたいのです。また活動的な生活をしてもらう事で、医療費の削減や多くの税金を納めてもらう必要があるのです。
非正規社員や女性の不満解消
現在の社会システムは、男性が正社員として家庭を支え、家族を養うモデルが前提になっています。一方、社会の変化に伴い、非正規労働者や女性の中で、フルタイムで働きたいと考えている方も増えています。そのような方は、今まではマイノリティーでしたが、もはや社会の中心的な存在になりつつあります。非正規労働者や働く女性に好まれる政策を考えなくては、政治家は国民の支持を得て選挙で勝つ事はできないのです。
法律の改正内容
いくつかの法律の改正が予定されていますが、私たちには影響がある変化は以下になります。
時間外労働の上限規制の導入
時間外労働の上限を、月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)を限度に設定します。
中小企業の月60時間超の時間外労働に対し、割増賃金の見直し
月60時間を超える、時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)について、早期に実施(平成35年4月1日)。中小企業は今まで実質、黙認されてきた可能性がありますが、今後はしっかりと割増賃金の支払いを行う必要があります。
有給の確実な取得
10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に、5日間、毎年、時季を指定して与えなければならない。
フレックスタイム制度の清算期間の変更
1ヶ月単位では無く、3ヶ月単位での調整が可能になる。今まで月ごとの枠内で労働時間調整を行なう必要があったフレックスタイム精度ですが、今後はより幅広い時間で勤務の調整が可能になります。
高度専門業務人材の成果性の導入
高度専門人材について労働時間、休日、深夜業での割増賃金を無くします。ただし本人の同意が必ず必要です。また会社は2週間連続の休日は確保する必要があります。長く働けばたくさん給料がもらえるという考え方を変え、より短時間で付加価値の高い仕事の仕方を推進したいとしています。比較的、収入の高いホワイトカラーの方に適用される予定です。残業代カットと取らえかねられない制度のため、どの程度適応されてくるか、今の所まだ詳細は未定です。
職務内容により賃金を決定
非正規と正規社員での賃金の差別は禁止されます。また待遇に格差がある場合は、正当な説明の義務が会社に求められます。
私たちのできること
これから私たちの働き方は大きく変わりそうですね。制度を前向きに捉え、今の仕事をもっと充実させたいと思っている方には、この政策は決して不安になる必要はありません。むしろより「充実した人生を送れるチャンス」になる事でしょう。また法律を正しく理解する事で会社と対等な立場で接することができるようになります。
みなさんの新しい働き方での活躍を期待しています。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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