マラソンやハーフマラソンの走るペースの組み立て方で、「ネガティブスプリット」があります。
レースの前半はスローペース走り、後半(フルマラソンで21km以降)は、前半よりもペースを上げて好記録を狙います。
このネガティブスプリットのメリットとデメリットを紹介します。
残念ながら、初心者の方やタイムを狙いたい人に、ネガティブスプリット走法はおすすめできません。
目次
「ネガティブスピリット」走法とは
レースで、ネガティブスピリットは、前半はスピードを自分の目標タイムからの平均ペースよりもゆっくりと走ります。
そして、後半には前半とは変わり、スピードを上げて加速します。
乳酸閾値を超えると急激に疲労する。
ランナーによってそのはスピードが異なりますが、あるペース以上では、乳酸が急激にまり、疲労が一気に蓄積します。
身体に疲労が溜まると、最初は簡単に走れていたペースを維持することさえ、辛くなるのです。その為、ネガティブスプリットはこの疲労の蓄積を前半は抑える事で、後半のペースダウンを防ぎます。
また前半のペースを抑えることで精神的にも余裕が生まれます。
「ネガティブスプリット」がオススメしない理由
初心者やタイムを狙う人にはお勧めしません。 初心者にはネガティブスプリットは不向きです。
- 自分の実力を理解していないとペース配分が難しい。ベストタイムは出しにくい
- 後半のスピードの切り替えとタイミングが難しい
- 走るコースに左右されるため、コースの理解が必要
初心者や市民ランナーにはネガティブスプリットはとても難しい走り方なのです。
ネガティブスプリットはランナー全体の5.7%
世界的な有名なシカゴマラソン(2015年、参加者約4万人)の結果によると、出場資格のあるランナーのうち5.7%しか、ネガティブスプリットで走っていません。
つまり、ネガティブスプリットは非常にマイナーな走り方です。
またその中で、BQ’dと言われる、市民マラソンでも上級者の人達がいます。
上級ランナーでもネガティブスプリットは珍しい
またその中で、BQ’dと言われる、市民マラソンでも上級者がいます。
この上級ランナーでも、同様にネガティブスプリットで走っている人は僅か5.7%しかいません。
つまり、上位の記録を狙いたいランナーにとっても、ネガティブスプリットは必要のない戦略なのです。
BQ timeの一覧

年齢 | 男子 | 女子 |
---|---|---|
18–34 | 3時間 5分 | 3時間 35分 |
35–39 | 3時間 10分 | 3時間 40分 |
40–44 | 3時間 15分 | 3時間 45分 |
45–49 | 3時間 25分 | 3時間 55分 |
50–54 | 3時間 30分 | 4時間 0分 |
55–59 | 3時間 40分 | 4時間 10分 |
60–64 | 3時間 55分 | 4時間 25分 |
65–69 | 4時間 10分 | 4時間 40分 |
70–74 | 4時間 25分 | 4時間 55分 |
75–79 | 4時間 40分 | 5時間 10分 |
80- | 4時間 55分 | 5時間 25分 |
(出典:wikipedia)
上記のような記録で走れば、市民ランナーとしては上位20%程度には入れるでしょう。
そのような上位選手でもネガティブスプリットはほとんど使用されていません。
ネガティブスプリットが向いている人
このように、あまりおすすめできないネガティブスプリットですが、一部の場合には有効な走り方です。
前半のスピードアップが難しい場合
大きな大会で、前半はコースが混雑し、思った通りのペースで走れない場合、ネガティブスプリットで走ることは、余計な疲労を蓄積しない為に、有効です。
またコースによって、前半はスピードが出せない場合も同様です。
順位が最優先の場合
市民ランナーではあまりないケースですが、タイムよりも順位や誰かに勝ちたいと思った場合は、ネガティブスプリットもおすすめの戦略です。
目標の相手に勝てば良いのですから、相手に合わせて前半はスローペースで抑える事で、体力を温存しましょう。そして後半のよいタイミングで相手を追い抜けばいいのです。
練習目的(調整)の場合
練習目的でネガティブスプリットで走ることは有効です。後半のスピードを上げた練習でレース後半の持久力やスピード強化のための練習には役立ちます。
また本番レース前の調整で、少し余力を残す練習には最適です。
ゴールで良いスピードで走りきれると、本番に向けて気持ちにゆとりが生まれます。
初心者には「イーブンペース」か「ポジティブスプリット」がおすすめ
初心者でタイムを狙いたい場合は「イーブンペース」か「ポジティブスプリット」で走ることを、おすすめします。
タイムを考えた時、前半から目標のペースでスプリットを刻んだ方が、その達成する可能性は高まります。
また先程も述べた、ほとんどの人が結果的に、ネガティブスプリットでは走れていない事実からも「イーブンペース」や「ポジティブスプリット」が妥当です。
「イーブンペース」が「ポジティブスプリット」で走ると高記録が出やすい
自分に合う走り方(ペース)を見つけることが大切
ネガティブスプリットの走り方の難しさを紹介しました。多くのランナーにとってとても難しい走り方です。
ただし人によって、良い走り方やペースは異なります。自分に合った走り方を見つけ、大会では満足した結果が出ると良いですね。
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